献血が原因で病院に行った時は?補償の手続き方法や給付金額について

献血による健康被害で病院など医療機関を受診することになった場合、国が定めた判定基準を参考に、 献血者健康被害救済制度 で医療費や医療手当、死亡給付などが補償される制度を受ける事ができます。

このページでは、献血者健康被害救済制度の請求手続をした場合の流れや補償される給付金額、また実際に健康被害で病院の受診が多い症状などを、図表と一緒に分かりやすくご説明しています。

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献血の健康被害で病院受診が多い症状とは?

平成28年度に医療機関を受診した人数
出典:「献血者の健康被害」(厚生労働省)
図2-13 平成28年度に医療機関を受診した人数 (814人)
(「献血者健康被害救済制度」の対象となるもの)

平成28年度に献血が原因で医療機関を受診した人は、献血者約483万人に対して814人。
全体の約0.017%の人が健康被害を発生して、病院で受診を行ったそうです。

下記では、平成28年度に医療機関を受診し、献血者健康被害救済制度の対象になった健康被害を、受診人数の多い順にご紹介しています。

 

神経損傷(138/814人)
 ※ 神経損傷の主な症状は、電気が走るような痛み、しびれ、筋力低下、脱力感など。
皮神経(皮膚に分布してその感覚を司る神経。一部に血管、立毛筋、腺に分布する自律神経線維も含まれる)に損傷を受けた場合は2~4週間程度で症状は軽くなるが、まれに回復に2ヶ月程度要することもあるそうです。
神経障害(122/814人)
 ※ 採血時の穿刺(せんし)により生じた傷が治る過程で形成された傷あとや、皮下出血後の血液がたまった状態などによる神経圧迫により、肘を伸ばした時などに引き起こす神経症状。止血を強く長時間行った場合や、採血時に腕を固定する際にも発生することがあります。
肘を伸ばすなどの運動時に、痛み、痺れがあるほか、まれに運動障害や知覚障害をきたすことがあるそうです。
血管迷走神経反応(VVR)による転倒(121/814人)
 ※ 献血によって失神やめまいなど(血管迷走神経反応(VVR))が起こったことによる転倒被害。
血管迷走神経反応(VVR)の詳しい症状は、下記でご説明しています。
皮下出血(87/814人)
 ※ 皮下出血の症状は、採血時の穿刺(せんし)と採血後の圧迫が適正に行われなかった場合に起こり、青色や赤紫色の出血斑が広範に広がる場合があるそうです。
血管迷走神経反応(VVR)(72/814人)
 ※ 採血開始後5分以内に発生することがもっとも多く、採血前や採血後に発生することもあります。
軽症ではめまいや、冷汗、気分不良、顔面蒼白、吐き気、失神などが副作用として現れ、ごくまれに重症ともなると、5秒以上の意識喪失、けいれん、尿失禁等も加わることがあります。
その他、血圧低下や徐脈、呼吸数低下なども見られることがあるそうです。
穿刺部痛(72/814人)
 ※ 採血時の穿刺(せんし)による傷の炎症や傷あとの周辺組織等が引きつることにより発生します。
穿刺部のせまい範囲に強い痛みが持続したり、穿刺部の圧迫痛や、穿刺部周囲にひっぱるような痛みがあるそうです。
血栓性静脈炎(9/814人)
 ※ 静脈の壁に損傷や炎症がおこりその部位に血栓ができたことによって炎症をともなう症状。
ほとんどの場合、局所の安静をはかり湿布をするだけで治るそうです。
かぶれ(6/814人)
過換気症候群(5/814人)
 ※ 過呼吸症候群とも言われ、呼吸困難、動悸、胸痛、失神、けいれんなどが見られるそうです。
反射性交感神経性萎縮症(RSD)(1/814人)
 ※ 採血針による外傷後に、持続性の疼痛(とうつう:ずきずきとうずくような痛み)等を伴い、筋肉等の萎縮をもたらす難治性(なんちせい:症例数が少なく原因が不明)の疼痛症候群。
一般にやや日数を経て外科的に治癒したと思われる頃から、疼痛が発症することが多いそうです。
その他(181/814人)

 

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献血者健康被害救済制度の手続き方法は?

献血者健康被害救済制度の手続き方法は、献血で健康被害を受けた本人(または遺族)らが、請求書と医療関係の領収書など必要とされる添付資料、診断書等を添えて、赤十字血液センターに郵送又は持参して請求します。

下記では、請求時から給付までの流れをご紹介しています。

 

献血者健康被害救済制度の手続き方法や流れ

① 給付請求
献血で健康被害を受けた本人(または遺族)らが血液センターに給付請求をします
② 判定依頼
請求を受けた血液センターは、日本赤十字社に支給・不支給の判定を依頼をします
③ 判定結果通知
日本赤十字社は、国が定めた判定基準を参考に救済給付の可否を決定し、血液センターに判定結果を通知します
④ 判定通知・給付
血液センターから請求者へ給付請求の結果が文書で通知され、支給不支給が決定されます
⑤ 協議 (判定困難事例)
献血との因果関係、長期の治療、障害の程度、給付額等の決定について判断が困難な健康被害の事例については、日本赤十字社は第三者の意見を聴くなどしたうえで、③の給付の決定に先立ち、厚生労働省 医薬・生活衛生局に対して協議を申し出ることができます
⑥ 意見
日本赤十字社より協議の申し出があった場合、厚生労働省は医学の専門家ら有識者の意見を踏まえ、日本赤十字社へ意見を述べます
⑦⑧ 不服申出
請求者が決定結果に不服がある場合は、日本赤十字社、厚生労働省に対して不服申出をすることができます

 

献血者健康被害救済制度で補償してもらえる給付金額は?

献血者健康被害救済制度の補償内容や給付金額

献血による健康被害のため病院で治療を受けた場合、医療費だけでなく通院にかかった交通費なども補償してもらえます。
万が一障害が残った場合や死亡した場合も補償対象となり、埋葬料も給付されます。

※ 給付額は変動することがありますので、正確な金額は各都道府県の赤十字センターよりご確認ください。

 

医療費
医療機関での治療にかかった費用が補てんされます。
ただし、健康保険など各種公的医療保険等による給付の額を除いた自己負担分が、本人らに給付されます。
※ 請求期限 費用支払いが行われたときから2年以内
医療手当
日額4,550円、月ごとの上限は36,400円
医療機関で受診した場合に要する医療費以外(交通費など)の費用補てんが、入通院1日目から本人ら給付されます。
※ 請求期限 医療が行われた月の翌月の初日から2年以内
障害給付
給付基礎額8,800円に障害等級1~14級に応じた倍数を乗じた額(14級 44万~1級 1,179万2千円)
健康被害が治癒したあと身体に障害がある場合、その障害の等級に応じて本人らに給付されます。
※ 請求期限 期限の定めなし
死亡給付
給付基礎額8,800円の千倍に相当する額(880万円)
健康被害により死亡した献血者等の遺族に対して給付されます。
※ 請求期限 死亡した日から5年以内、ただし医療費、医療手当、障害給付の支給があった場合は死亡から2年以内
埋葬料
206,000円
健康被害により死亡した献血者等の葬祭を行う方に対して給付されます。
※ 請求期限 死亡した日から5年以内、ただし医療費、医療手当、障害給付の支給があった場合は死亡から2年以内

 

出典・参考サイト

  • 厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kenketsugo/)
  • 日本赤十字社 (http://www.jrc.or.jp/)
  • 日本赤十字社 東京都赤十字血液センター (https://www.bs.jrc.or.jp/ktks/tokyo/)
  • Yahoo!辞書 (http://dic.yahoo.co.jp/)